ニューヨーク市立大学バークレー校の研究グループが行った実験から,標題のようなことを懸念している。
この実験はマクドナルドの模擬店舗を使用して行われた。二種類のメニューを準備した。一方には健康に良さそうなサラダなどのメニューが載っているが,もう一方には載っていない。被検者にはどちらかのメニューが渡された。サラダが掲載されているメニューを受け取った被検者は,そう一つのメニューを受け取った被検者よりも,ビッグマック(不健康そうなメニュー)を選ぶ割合が明らかに高かったという。
メニューを受け取っただけでサラダを注文したわけでもないのに,ヘルシーさを演出する食べ物の名称が載っていただけで,無意識に最もカロリーの高いメニューを選択してしまった被検者が多かったということだ。
「健康」という「倫理的に正しい」何かを想像すると,それがなぜか免罪符のような効果を発揮して,「倫理的に正しくない」行動をとってしまいやすくなるということらしい。「正義」や「平和」などの概念も同様に,倫理的に正しいと脳が判断する可能性が高く,同じ効果をもってしまう可能性があると著者は指摘している。