ナラ枯れは江戸時代にもあった

最近の日林誌に載った論文
ナラ枯れは江戸時代にも発生していた」
井田秀行・高橋勸、日林誌92, 115-119, 2010
要点は以下の通り。

長野県飯山市では、1750年にもナラ枯れのような被害が発生していた。古文書に「神社の社叢において、多数のナラ樹の葉が夏頃から変色しはじめ、秋にはほとんどが萎凋枯死した。虫は樹幹に加害しており駆除の手段がない」と記されていた。
カシノナガキクイムシは江戸時代以前から我が国に生息しており、ブナ科樹木萎凋病は社叢のような大径木が多い立地で発生を繰り返していた可能性が高い。
五束神社が所蔵する「御社向日記」を読んだ。
1750年に発生したナラ枯れは、現在のように顕在化することなく2〜3年程度で収束した可能性が高い。→ 神社社叢の他の土地には大径のコナラが存在しなかった。
低温期であるこの時期にナラ枯れが発生していたということは、現在のナラ枯れが温暖化の生ではないし、海外起源であるという可能性も低い。
古文書で記述している場所は現在の飯山市大字豊田であり、この周辺では現在もナラガレが発生している。