「風評被害」と言ってはいけない

小山真人(静岡大学防災総合センター教授)のブログ記事から
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/opinion/jihyo52.html

グレーゾーンの大きな放射能のリスクにさらされる中で、リスクのとらえ方は人によってさまざまである上に、要援護者や持病の持ち主、乳幼児など、小さいリスクであっても可能な限り避けたい人々もいる。行政や生産者にとっては「風評被害」であっても、当の消費者にとっては実害を未然に防ぐための正当な自己防衛であり、それを「風評被害」と呼ばれるのは全くの心外であろう。そもそも「風評被害」という言葉の中には、「消費者は風評に惑わされる愚かな人々だ」という暗黙の決めつけも含まれている。要するに、「風評被害」は、行政や生産者の立場と解釈を一方的に押しつけるとともに、その原因までをも消費者に転嫁し、消費者の立場や感情を踏みにじる最低の言葉なのだ。この言葉を使い続ける関係者と、それを無批判に垂れ流すマスメディアに猛省を望みたい。