北九州市試験焼却 がれき80トンの輸送費1400万円
河北新報社
 東日本大震災で発生した宮城県石巻市の可燃がれき80トンを試験焼却のため北九州市に運んだ輸送費が、1400万円に上ったことが6日、宮城県の調べで分かった。広域処理が正式に決まった場合、県と北九州市は今回の陸路よりコストの安い海上輸送を検討している。がれきの輸送費は全額を国が負担するが、円滑な処理の実現に向け費用圧縮が課題となりそうだ。
 北九州市の試験焼却は5月23〜25日に行われた。木くずなどのがれきは10トントラック28台に積載し、石巻市の中間処理施設から1400キロ先の北九州市に運ばれた。
 試験焼却にかかった輸送費は、1トンあたり17万5000円。これを北九州市が計画する「年間3万9500トン以内の処理」にあてはめると、すべて陸路で運んだ場合、輸送費は約70億円に上る計算になる。
 今回、がれきは5月22日に北九州市に到着した。同日中に焼却施設に搬入する予定だったが、一部のグループが受け入れを阻止したため、作業は予定に比べ8時間半遅れた。
 県は「陸路で運んだことに加え、搬入の遅れも輸送費がかさんだ要因になった」(震災廃棄物対策課)と見ている。
 県と北九州市は現在、輸送費を抑えるため海上輸送を検討中。1回あたりの輸送量は300トンを想定しているが、ここでも課題がある。コンテナ船などは少なくとも1000トン規模の運搬が可能で「300トンの量ではかえって割に合わない」(同課)という。
 北九州市は6月中にも、がれき受け入れの可否を最終判断する。輸送費を含め、がれき処理にかかる経費は最終的に国が負担する。
 宮城県は「広域処理が必要な状況に変わりはない。コストを圧縮できるよう国や受け入れ先の自治体と調整を重ねたい」と効率的な輸送手段の構築を急ぐ。
2012年6月7日(木)



住宅地除染 市対象822件も国は8件
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20120706/CK2012070602000126.html
2012年7月6日
 野田市は五日、市の除染計画に基づく一戸建て住宅敷地の除染で、希望者宅の空間放射線量を事前に測定したところ、六月末時点で、82%(八百二十二件)で市の除染基準(地表五センチで毎時〇・二三マイクロシーベルト)を超える線量を検出したことを明らかにした。
 国は除染費用の補助に関し「地表一メートルで毎時〇・二三マイクロシーベルト超」を対象にしている。国基準の高さだと基準超は八件のみだった。根本崇市長はこの日の記者会見で「国の基準だと補助対象が(市の基準の)百分の一になってしまう」と国の対応を批判した。
 市が独自に「地表五センチ」を基準に除染対象を決めたのは、子どもの目線に近づけて放射線による影響を少なくするのが目的。根本市長は国の基準について「一〜二歳の子どもがジャンプしても届かない高さでいいのか」と疑問視した。
 市によると、住宅敷地の測定申し込みは六月末現在で四千二百二十四件。これまで九百九十九件を測定した。
 除染作業は市内の建設業組合に委託し、これまでに八十四件実施している。 (川田栄)




事故調報告書の取り扱い議論へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120706/k10013378581000.html
7月6日 4時2分
国会の原発事故調査委員会は、5日、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「自然災害」ではなく、明らかに「人災」だと指摘する報告書をまとめました。
自民・公明両党は、報告書の内容を国会で質疑すべきだとするなど、今後、報告書の取り扱いを巡る議論が活発化する見通しです。
国会の原発事故調査委員会は、5日、福島第一原発の事故について、歴代の規制当局と東京電力の経営陣の安全への取り組みを批判し、何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなく、明らかに「人災」であるとする報告書を、衆参両院の議長に提出しました。
これについて、自民党の谷垣総裁と公明党の山口代表は、5日夜の会談で、国会が独自に設けた機関の報告書であり、国会でしっかり質疑すべきだという認識で一致しました。
また、与野党双方から、この報告書で原発の運転再開の根拠が揺らいだとして、その是非を検証する必要があるなどという指摘も出ています。
一方、民主党内では「民主党政権だけの問題ではなく、歴代の政権が責任を負わなければならないことが明確になった」などという意見のほか、「政治に介入しすぎている」として、不快感を示す声も出ています。
報告書は、国会に対して、規制当局を監視する目的で、原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだなどと提言しており、今後、その取り扱いを含め、議論が活発化する見通しです。