あの戦争は何だったのか

テレビでも放送していた。原作を読んだ。実は数週間前に買って、積ん読状態だったもの。

『あの戦争は何だったのか』保阪正康、新潮社、2005

p.31

太平洋戦争開始時、日本の軍人や兵士は陸海あわせて総計で約380万人いた。そして終戦前年の昭和19年には、その数、何と800万人にも膨れ上がっていた。当時の日本の人口が約7500万人だったから、十分の一以上の国民が兵士となっていたことになる。

p.121-122

資料に目を通していた痛感した。軍事指導者たちは”戦争を戦っている”のではなく、”自己満足”しているだけなのだと。おかしな美学に酔い、一人悦に入ってしまっているだけなのだ。兵士たちはそれぞれの戦闘地域で飢えや病で死んでいるのに、である。
 挙げ句の果てが、「陸軍」と「海軍」の足の引っ張り合いであった。

p.143
「一定の枠内で戦えばいい、それ以上、無益な死になるのなら捕虜になれ、そして敵の中にあってその戦力を消耗させよ、というのは、二十世紀の戦争の鉄則である。玉砕などというのは、戦時下における日本の国民性さえ愚弄する軍官僚の知性の退廃であった。

戦術はあったが、戦略はなかった。何を目標としていたのか、どのような状態になったら戦争を終結させるのか、そのような展望は何もなかった。というのが著者の主張であると思う。

軍人が引っ張った戦争であったということのようだ。田母神さんという人が変な論文を書いていたが、現在の軍隊(自衛隊)の指導者クラスも相当に危なそうだ。